宗教と民族
グルジアの宗教と民族
東西南北の諸文明・諸文化が行き来していたグルジアには、様々な民族が居住している。
民族 |
宗教 |
言語 |
居住地域 |
カルトヴェリ(グルジア)人 Kartveli |
グルジア正教 |
グルジア語 |
グルジア全土 |
オセット人 Ossetes |
ロシア正教(70%)とイスラム教徒スンナ派(15%) |
オセット語 |
南オセチア自治州 |
アブハズ人 Abkhaz |
イスラム教徒スンナ派 / グルジア正教 |
アブハズ語 |
アブハジア自治共和国 |
アジャール人 Adjar/Adjarian |
イスラム教スンナ派 |
グルジア語 |
アジャリア自治共和国 |
アルメニア人 Armenians |
アルメニア使徒教会 |
アルメニア語/グルジア語 |
トビリシ(アヴラバリ地区)とジャヴァへティ地方 |
アゼルバイジャン人 Azerbaijani/Azeri |
イスラム教スンナ派/シーア派 |
アゼルバイジャン語 / グルジア語 |
グルジア東南部マルネウリ |
ロシア人 Russians |
ロシア正教 |
ロシア語 / |
グルジア各地 |
19世紀にロシアから移住してきたロシア人 |
モロカン派(ロシア正教の異端派) |
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グルジア南部 |
グルジーム Gruzim(グルジア・ユダヤ人) |
ユダヤ教 |
ユダヤ・グルジア語 |
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山岳ユダヤ人 Mountain Jews/Caucasus Jews |
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タート語 |
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クルド人 Kord |
ヤズィーディー教(ゾロアスター教、キリスト教、イスラム教が混交した宗教) |
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イラン系の人々 |
ゾロアスター教(古代イラン北東部で活動した預言者、ザラスシュトラ(ゾロアスター)を教祖とする宗教でササン朝の国教だった |
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キスト人 Kist |
イスラム教 |
キスト語 |
アフメタ地区、パンキシ渓谷 |
バツ人 |
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バツ語 |
グルジア東部 |
ギリシア人 Greek |
ギリシア正教 |
グルジア語/トルコ語 |
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アッシリア人 Assyrian |
キリスト教徒 |
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ラズ人 Laz |
イスラム教 |
ラズ語 Laz, lazuri nena |
トルコとの国境近辺 |
スヴァン人 Svan |
グルジア正教 |
スヴァン語Svan |
アブハジア自治共和国の東部に位置するスヴァネティ地方、メスティア近辺の山岳地帯 |
メグレル(サメグレロ)人Megreli |
グルジア正教 |
メグレル語Megrelian / グルジア語 |
グルジア北西部のサメグレロ地方 |
メスフ人(メスへティ・トルコ人) Meskher-Turks |
イスラム教(オスマン帝国支配下時に改宗した) |
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グルジア南西部、トルコ北東部、中央アジア |
アヴァール人 Avars |
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アヴァル語 |
グルジア東北部 |
グルジア正教会について
グルジア正教はキリスト教に分類し、東欧に普及している正教の一つ。日本ではカトリックやプロテスタントのほうが馴染みがあるかもしれないが、それらとは違うキリスト教になる。
例えば、正教では教会で歌うときに楽器を使用しないため、西欧の教会で見られるパイプオルガンなどはない。また、イコンも正教でのみ使用されている。
グルジアには各地に教会がある。いくつかの教会では、女性は頭を隠す必要があり、頭を覆うスカーフや帽子が必要。入り口に貸し出し用のスカーフを用意してある教会もある。
歴史
1世紀 |
イエスの弟子である12使徒たちがグルジアで伝道活動。 |
337年 |
聖ニノによって、東グルジアにあったイベリア王ミリアン3世がキリスト教を国教に -グルジアは世界で二番目のキリスト教国家となる。(アルメニアが334年に世界初のキリスト教国家になっている。) |
466 |
東方正教会(アンティオキア正教会)の管轄下にあったグルジア正教会が独立。 |
523 |
西グルジアにあったラジカ王国がキリスト教国家に。 |
1811 |
グルジアがロシア帝国に併合され、グルジア正教会の総主教が廃止される。代わりにロシア正教会に従属する大主教が置かれ、礼拝でのグルジア語の使用を制限される。 |
1917年3月 |
2月革命後、グルジア正教会は独立を訴え、再びグルジア人が総主教の座に就く。 |
1943 |
ロシア正教会はグルジア正教会の独立を承認。 |
現在 |
現在の全グルジアの総主教はイリヤ2世Ilia II。 |
グルジア正教の聖人
シンボル
グルジア宗教独特のシンボル。
聖ギオルギ Saint Giorgi
英語名は聖ジョージ。グルジアとグルジア男性の守護聖人。竜を退治したことで有名な聖人。国の名前の由来にもなっている。
聖ニノの十字架(ブドウの十字架)Saint Nino's cross(Grapevine Cross)
聖ニノがグルジアで布教活動している際に、自分の髪の毛でブドウの枝を縛り作った十字架を「聖ニノの十字架」と呼ぶ。ブドウの枝を使って十字の形を作ったため、十字架の横に水平な部分がまっすぐではなく、下に曲がっているユニークな形をしている。現在はシオニ大聖堂に納められている。
グルジア正教の聖人
*アルファベット順
アビアタルとシドニア Abiathar
and Sidonia |
アビボ ヨセフ Abibo Joseph |
ネクレシのアビバス Abibus of
Nekressi |
アボトビレリ Abo of Tiflis
(Abo Tbileli/Habo Tbileli)
(ca.756-786) |
トベリ アブセリスゼ Tbeli
Abuserisdze (ca.1190-1240) |
パトリアク アンブロス Patriarch
Ambrose of Georgia (1861-1927) |
Anthim the Iberian (1650-1716) |
カへティのアルチル公 Archil of
Kakhetiარჩილი |
アショット1世 Ashot I
Kuropalates |
イリア・チャフチャヴァゼ Ilia
Chavchavadze |
ツォトネ ダディアニ Tsotne
Dadiani |
ダヴィト4世 David IV of
Georgia |
エクティネ アトネリ Euthymius
of Athos ექვთიმე ათონელი (ca.955-1028) |
ギオルギ チュコンディディ George
of Chkondidi |
George the Hagiorite (1009-1065) |
グレゴリ ハンズテリ Gregory of
Khandzta გრიგოლ ხანძთელი (759-861) |
グリゴル ペラゼ Grigol
Peradze (1899-1942) |
イベリアのジョン(ヨハネ) John the
Iberian |
カへティのケテヴァン Ketevan of
Kakheti (1565-1624) |
パトリアク キリオン Patriarch
Kyrion II of Georgia კირიონ II (1855-1918) |
カへティのルアルサブ2世 Luarsab
II of Kartli ლუარსაბ II (1592-1622) |
ミリアン3世 Mirian III of
Iberia |
カッパドキアの聖ニノ St. Nino of Cappadocia |
イベリアのピーター Peter the
Iberian (ca.411-491) |
Rajden the First-Martyr |
アハルツィへのシャルバ Shalva of Akhaltiskhe შალვა ახალციხელი |
聖シュシャニク女王 Saint
Shushanik (ca.440-475) |
エクヴティメ タカイシュヴィリ
Ekvtime Takaishvili |
王タマル Tamar of Georgia |
ヨアンネス・トルニケスTornikios თორნიკე
(?-985) |
ヴァフタング1世 Vakhtang I of
Iberia |